ナイキ エア ズーム アルファフライ ネクスト%の試走レポートのはずが、これまでのズーム シリーズの説明が長くなってしまいました。ここからが、本番のレポートです。
ナイキ ズームX ヴェイパーフライ ネクスト%
2019年6月発売 ¥29,700
2018年の第2世代「フライ ニット」バージョンの発売時にはアッパーの変更がメインで、ソールユニットは変更がありませんでしたが、2019年の「フライ ネクスト%」バージョンではライド感(走り心地)に大幅な改良がなされました。
(ナイキ社の資料によると)
引用:ナイキ公式
第2世代のヴェイパーフライ4%と比較して前足部で4mm、踵部で1mm厚さが増し、ズームXフォームが約15%増え、シューズデザインも大幅に変更されました。フォームの量が増え、さらに厚底に変わったのは、より多くのエネルギーリターンを獲得するためでした。
アッパー素材は「ヴェイパーウィーブ」に変更され、さらに軽量化され、ズームXフォームが15%増量されているにもかかわらず、ヴェイパーフライ4%フライニットと同じ重量を保っています。 また、セッティングもオフセットを3mm減らし8mmにすることで安定感を高め、つま先で蹴り出す直前までより多くのエネルギーを温存できるようにしています。 「ヴェイパーウィーブ」と呼ばれる新しいアッパーはナイキ フライニットよりも軽量で通気性にも優れた素材構造になっています。そして何よりも汗や雨の水分吸収が少ないため、マラソンを走るときにもシューズをずっと風通しの良い乾いた状態に保てるようになりました。
また、前足部にはグリップ力を高めるために新しいトラクションパターンが採用されており、悪天候でも路面へのシューズの食いつきを良くしています。さらにアウトソールに新しく施された曲線的なデザインの深い溝が、ターンの時にもスムーズな動きを促す構造です。
総合的に判断して、ズームX ヴェイパーフライ ネクスト%にとって最適な走りとは。
カタログの説明ではわかりづらいので試走してみての私の感想です。(あくまでも私個人の感想です)
ソール構造は、第2世代までのような「半強制的につま先方向に重心が移動する感覚」から、前足部全体に接地感を感じられるような……今までのシリーズで最も自分の脚力で攻められるシューズになった感じです。私にとっては違和感が少ないライド感です。スプーン状のカーボンプレートの推進力には変化はありませんが、ソール前足部に確かな接地感があります。今迄のズームシリーズの独特な体重移動が使いずらいと感じていたランナーでも、違和感少なく受け入れられるかと思います。加えて、アッパーの素材変更で通気性をより確保しながら軽量化を一段と進め、タイト感も改善されています。
いよいよ最新世代 『ズーム アルファフライ ネクスト%』
の独断レポートです。
ナイキ エア ズーム アルファフライ ネクスト%
2020年7月発売 ¥33,000
さて、いよいよ「アルファフライ ネクスト%」のレポートです。まだ、実物を見たことも無いという方も多いでしょうね。第2世代に比べると大幅な改良がされています。
「アルファ フライ ネクスト%」で大幅に進歩した大きな改良点は3点。
前足部にあるナイキ ズーム エア ポッドと呼ばれるクッショニングシステムと、フルレングスで搭載されたカーボンファイバープレート、そして39.5mm(メンズサイズ26.5cm)もの分厚いミッドソールです。それらの改良部分を一つひとつ詳細を紹介します。
◆前足部に2つ配置された最新のズームエアポッド。
ズームXフォームの幅で最も力がかかる前足部の部分に新機能のエアーポッドが備え付けられました。ズーム エア ポッドとは、高圧のエアバッグ内にきつく伸ばされた伸張性の高い特殊な繊維を閉じ込めたものです。ランニング時に、アスリートの足が地面に着地すると、その繊維が圧縮されて衝撃を緩衝。そして、瞬間的に元の形状に復元することでエネルギーリターンを生むという仕組みです。
◆ズームXフォームを増量(とても分厚いミッドソール)
ズームXフォームの特徴は2つ。抜群の反発力とその軽さです。アルファフライ ネクスト %は、ヴェイパーフライ ネクスト%よりもフォームを増量し、衝撃吸収力とクッショニングをさらに強化している。
◆カーボン ファイバー プレートがフルレングスに形と位置を改良
組み込まれるカーボンプレートは、その下部にあるズームXフォームを押し下げ、均等に強い反発を生む構造です。ヴェイパーフライ ネクスト%では、ミッドソールが分厚くなり、カーボンは少し上の位置に、より下の部分にソールがなので、さらに反発性が向上しました。フルレングスのカーボンファイバー製プレートが、ズームXフォームとズームエアポッドの相乗効果で、足を踏み出すたびに弾むような感覚をもたらします。プレートの厚さは、サイズごとに調節。小さめのサイズではよりしなやかに、サイズが大きくなるにしたがってプレートの硬さを強化した。ランナーの体格に応じて、サイズに関係なく足を前に押し出す履き心地を実現しています。
◆さらに超軽量化されたアトムニットが登場
2つのズーム エア ポッドとフォームの増量によって、シューズの総重量が増えてしまうことを防ぐために、軽量化したアトムニットと呼ばれるFlyknitアッパーが新たに開発されている。Flyknit素材に熱を加えて伸ばすことで、足にぴったりフィットする軽量な履き心地を実現。水分の吸収を最小限に抑えつつ、通気性が強化されている。
総合的に判断して、アルファフライ ネクスト%にとって最適な走りを探る。
このブログを書くにあたって、もう一度 ナイキ ズーム シリーズをすべて履き比べてみました。
最初の「フライ ニット」で、まず厚底の違和感。でもその厚底の沈み込みで、前足部が自然に前のめりになって進んでいく感覚を得てからは推進力を生かした走りができるようになりました。次の「ヴェイパーフライ 4% フライニット」ではフル・カーボンファイバー製プレートになって反発力をより感じました。
それが「ヴェイパーフライ ネクスト%」になって大進化しました。ズームXフォームが約15%増え自然な体重移動と強烈なクッション性、その反発力が確実に走りを早くしてくれました。加えて、ヴェイパーウィーブと呼ばれる新しいアッパーが安定した長距離走を支えてくれるようになりました。
そして最新作「アルファフライ ネクスト%」です。これはヴェイパーフライ ネクスト%の単純な進化版では無い気がします。ヴェイパーフライ ネクスト%から少し方向性(性能)を変えた平行進化版的存在です。「ヴェイパーフライ ネクスト%」か「アルファフライ ネクスト%」を選べば、ほとんどのランナーが速く走れるようになると思います。ただ、最高の走りがしたいなら、両方の特長を比較して、自分の走り方に合った方を選ぶと良いと思います。
その選択ポイントは、「さらに分厚くなったズームXフォーム(ミッドソール)」の使い方でしょう。
自分の足底の接地地点が「前足部(つま先に近い方)」の人はアルファフライ ネクスト%が向いてます。接地が足裏全体で、マラソン後半で疲れてくると、膝が下がり気味で踵着地になりやすい人はヴェイパーフライ ネクスト%でしょうか。ミッドソールが分厚いので、レース前半の脚力があるうちは、どちらのシューズでも、フォアフット(ミッドフット)走法のメリットが受けやすく早く走れます。
ただ、レース後半に(疲労で)足が上がらなくなるランナーの場合は、ヒール(踵側)が接地してしまい、そうなるとミッドソールのクッションが逆に、足首や脚力の負担になってきそうです。その場合は、ミッドソールがやや薄くクッションの少ないヴェイパーフライ ネクスト%の方が向いていると思います。
「アルファフライ ネクスト%」はまさに(ドクター中松の)ジャンピングシューズです。ポンポン跳ねます。「ズーム エア ポッド」は、高圧のエアバッグ内にきつく伸ばされた伸張性の高い繊維を閉じ込めたもので、足が地面に着地すると、その繊維が圧縮されて衝撃を吸収、瞬間的に元の形状に復元することで反発性を生むクッショニングシステムです。なんと着地の時に「クチャッ クチャッ」と独特な音がします。でもこれが反発の実感なんですね。
「アルファフライ ネクスト%」の走り方。(私の独断的な個人意見です。)
まず着地です。接地はソールの前半分(前足部)、極力エアーポッドの位置で、踏み込みは垂直方向です。すると、ズームXフォーム(ミッドソール)が沈み込み、前足部のソールのラウンド形状(この部分だけ硬いソール)に沿って、自然に体重が前方方向に移動していきます。次にエアーポッドの反発が来ます。この力を利用して、さらに前方に体重移動します。このシューズ底はつま先ギリギリまでラウンドしていて、しかも硬いので、このラウンド形状にギリギリまで乗って前傾してください。最後につま先で前方に蹴り出します。エアーポッドとズームXフォーム、カーボンの反発が重なって、自分の脚力だけに頼らなくても、無理なく前進していきます。この感じの繰り返しです。あとは自分なりの感覚をつかむだけ。
私としては(一般市民ランナーなので)アルファフライ ネクスト%はちょっと冒険です。調子に乗って勢いよく走っていると、膝に反動が来そうでジャンパー膝(膝蓋腱炎)が心配です。履きたいランナーは日頃の筋トレで大腿四頭筋を鍛えておくことがお薦めです。 とにかく、「アルファフライ ネクスト%」は現時点で、自分のベストタイムを出せるシューズに間違いありません。あとは、自分とシューズに一番合ったランニングフォームを身につけるだけです。秋になれば新型コロナの影響も徐々に減り、各地でマラソン大会も復活するでしょう。その時に向けて、是非このシューズを履きこんでおきましょう。
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新たに目指す目標は『世界5大陸の制覇!』への挑戦。楽しくそしてハードに世界を旅してます。 私は日本陸連所属のマスターズ(シニア)・アスリートです。 50代でメタボ体型をダイエットしようと始めたランニングでし[…]
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